デリバティブ市場の参加者

以前の「日本ではデリバティブ市場が育たない?」について取引規格がヘッジャーのニーズに合わない、縦割り行政等とコメントを頂きました。

そもそもデリバティブ市場とはどのようなものなのかという根本を考えていきたいと思います。(ブログタイトルからは遠ざかっていく気がしますが…。)

まず、デリバティブ市場の参加者とは、大きく二通りに分かれます。
1つはヘッジャーと呼ばれる実際にその商品を取り扱っているいわゆる当業者、もう1つはスペキュレーターと呼ばれる投資家となります。
スペキュレーターには個人投資家からヘッジファンド、プロップファーム、機関投資家まで大小様々な形態が参加しています。

ヘッジャーの主な目的はヘッジ取引ですが、なぜヘッジ取引が必要となるかというのは、企業には様々なリスクが存在します。そのリスクとは例えば信用先リスク、製品要因リスク、情報リスク等様々ですが、その中でも収益に直結するものとして市場リスクが存在します。主な市場リスクとは為替変動、金利変動、商品価格の変動等が上げられ、例えば、輸送コスト、電力コスト等は原油価格の影響、輸出入では外国為替の影響、食物、工業品等は原材料価格の影響を受けるなど、この市場リスクを受けない業種というものはほぼ皆無となっています。

その為、この市場リスクを回避(ヘッジ)するがのヘッジャーがデリバティブ市場に参加する目的となります。

ヘッジ取引を行う場所については大きく2つに分かれ、公設の取引所取引、もうひとつはOTC(Over The Counter)いわゆる店頭取引になります。

ただし、国内企業のヘッジ取引の取引実態というと実際に行なっている企業の割合は諸外国に比べ、低い水準となり、国内取引所の利用度はさらに低くなります。

原因としては、業種、業界等の特別な状況は除き、主だったものとしては以下のものとなります。
ご指摘いただいた取引規格がヘッジャーのニーズに合わないについては、サイズ、もの、商慣習の違い等が上げられます。
また、他にも取引銘柄の少なさ、流動性の低さ、取引の複雑さ、法制度、会計等様々な問題があります。

現在、産業界と各省庁、業界団体で構成されている産業構造審議会が行われていますが、スペキュレーターの参加はもちろん必要、相対するヘッジャーの参加のバランスがこれからのデリバティブ市場の活性化となると思いますので、是非両方の点から制度改善がなされることを期待したいと思います。

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コメント
Re: タイトルなし
espresso 様

いつもありがとうございます。
「勝ち抜きトーナメント」はいまの先物市場を表す言葉ではないでしょうか。
個人等投資家を中心とした市場形成を行なったための結果として個人が離れた結果、スペキュレーターのしかも一部の投資家のみの市場となってしまったという感じを受けています。
ただ、私個人としては、希望として昨年上場されたコメは出来高こそ振るわず絶対数としては少数ですが、受渡の率については高位になっており、当業者のニーズがあることを実感しています。
このコメが一つの成功例となった際には、他の市場も変わっていくことは十分に考えられますし、現在産構審が開かれていますが、TOCOMからは電力先物の上場という話が出ています。
新たな商品は本来のデリバティブ市場の意義を踏まえてヘッジャーの利用しやすい商品設計として現在あるOTC市場との相互性などを踏まえ、当業者の参加を促し、その隙間にスペキュレーターが入ってくるような市場となったら面白そうな気がします。
私達ブローカーも今までのような取引所一本ではなく、全てに対応できる必要がありますね。


> コメント有難うございます。
>
> 「他国に比べてコストが大きくなる」 まったく同感です。輸入者にとってシカゴ先物以外の部分(FOBプレミアム、海上運賃、金利、保管料、為替等)の正当価格でのヘッジは困難です。例えば船舶燃料(重油)のヘッジを原油先物で行うとしても相関係数を調べたり、それでもなおスプレッドのリスクは残ります。先物市場が無いと価格は不透明がちですし、手間もかかることから、結局商社や銀行に頼り、リスク分がコストとして乗るのは当然でしょう。
>
> 米国のように当業者によるベーシス取引およびEFPが取引の主体になれば、自然と国内市場の流動性も高まるのではないかと思います。過去の卵や芋、最近のコーヒーのように、当業者が参加しない、つまり現物の物流を背後に伴わない市場は自然と衰退してしまいます。数少ない投機家のみが勝ち抜きトーナメント戦を行っているような市場だと、さらにこのブログタイトルでもあるアルゴリズムトレードも機能しなくなってしまうのかと懸念します。
>
> 米国先物市場での現物受け渡しは出来高の数%かもしれませんが、CFTC建玉明細のヘッジ玉(Commercial)の多くにベーシス取引・EFPが絡んでいると考えると当業者が市場活況に与える影響は大きいと考えます。もしかすると、最近WTI原油先物の出来高がブレントに抜かれたのも、ベーシスの変動リスクが高く当業者がシフトしたのかなとも思ったりします。
>
> ただ国内市場の場合、当業者の参加が少ないのは、出来高不足のみならず色々な要因があるのでしょうが。しばらくは外国人に頼るしかなくても、そのうち相乗効果で参加者が増えれば良いですね。
by: M.J. * 2012/06/19 09:49 * URL [ 編集] | page top↑

コメント有難うございます。

「他国に比べてコストが大きくなる」 まったく同感です。輸入者にとってシカゴ先物以外の部分(FOBプレミアム、海上運賃、金利、保管料、為替等)の正当価格でのヘッジは困難です。例えば船舶燃料(重油)のヘッジを原油先物で行うとしても相関係数を調べたり、それでもなおスプレッドのリスクは残ります。先物市場が無いと価格は不透明がちですし、手間もかかることから、結局商社や銀行に頼り、リスク分がコストとして乗るのは当然でしょう。

米国のように当業者によるベーシス取引およびEFPが取引の主体になれば、自然と国内市場の流動性も高まるのではないかと思います。過去の卵や芋、最近のコーヒーのように、当業者が参加しない、つまり現物の物流を背後に伴わない市場は自然と衰退してしまいます。数少ない投機家のみが勝ち抜きトーナメント戦を行っているような市場だと、さらにこのブログタイトルでもあるアルゴリズムトレードも機能しなくなってしまうのかと懸念します。

米国先物市場での現物受け渡しは出来高の数%かもしれませんが、CFTC建玉明細のヘッジ玉(Commercial)の多くにベーシス取引・EFPが絡んでいると考えると当業者が市場活況に与える影響は大きいと考えます。もしかすると、最近WTI原油先物の出来高がブレントに抜かれたのも、ベーシスの変動リスクが高く当業者がシフトしたのかなとも思ったりします。

ただ国内市場の場合、当業者の参加が少ないのは、出来高不足のみならず色々な要因があるのでしょうが。しばらくは外国人に頼るしかなくても、そのうち相乗効果で参加者が増えれば良いですね。
by: espresso * 2012/06/18 18:17 * URL [ 編集] | page top↑
Re: タイトルなし
espresso 様

いつも御覧いただきましてありがとうございます。
年間1500万トンの輸入量を考えますと、現在低迷する商品市場では非常に魅力的な取引量の増加となりますが、これを受けられるだけの器が無いのは非常に厳しい現実だと思います。
スペキュレーターの増加だけで受けきることは難しいとは思いますが、輸出側のヘッジャー等の参加者を増やすことつまり参加者の種別拡大が必要となりそうです。
その一つとして海外玉がありますが、今回TGEがTOCOMへ移管すると報道されており、TOCOMは海外玉占有率が徐々に伸ばしていることが移管される銘柄も同様の動きを見せるようであれば、期待はできるかもしれませんね。
ご指摘いただきましたとおり、シカゴ先物でしかヘッジを行えない状況では、FOBやCIF等の海上運賃、海上保険等諸経費のみを別でヘッジする必要が出てくるため、他国に比べリスク、コストが格段に大きくなることともなります。
この状況というのは、日本国内企業としても望ましくないものですので、私達ブローカーとしても健全な市場育成を行なって行きたいと思います。
今後ともご意見などを頂ければ、私たちは励みにもなりますし、ブローカーとして、取引所、国へ提言できることもございますので、是非宜しくお願い致します。

> いつも楽しく拝見させていただいております。国内市場は近年、流動性が低い中で取引単位がさらに小さくなってしまいました(穀物が100トンから50トン等々)。当業者にとって穀物船たった一杯分(約5万トンとして)でさえ、1000枚ものヘッジ取引は現状、流動性リスクのほうが大きすぎます。輸入商社やメーカーはFOBプレミアムや海上運賃のリスクを取ってでもシカゴ先物でヘッジを行っているのが現状だと思います。海外市場で海上運賃上場検討がしばしば聞かれる中で、既に海上運賃込みの国内市場は当業者にとって本来非常に魅力的な市場のはずなのですが・・・。(日本のとうもろこし輸入量だけで年1500万トンもあるのに!)
by: M.J. * 2012/06/18 11:33 * URL [ 編集] | page top↑

いつも楽しく拝見させていただいております。国内市場は近年、流動性が低い中で取引単位がさらに小さくなってしまいました(穀物が100トンから50トン等々)。当業者にとって穀物船たった一杯分(約5万トンとして)でさえ、1000枚ものヘッジ取引は現状、流動性リスクのほうが大きすぎます。輸入商社やメーカーはFOBプレミアムや海上運賃のリスクを取ってでもシカゴ先物でヘッジを行っているのが現状だと思います。海外市場で海上運賃上場検討がしばしば聞かれる中で、既に海上運賃込みの国内市場は当業者にとって本来非常に魅力的な市場のはずなのですが・・・。(日本のとうもろこし輸入量だけで年1500万トンもあるのに!)
by: espresso * 2012/06/15 07:56 * URL [ 編集] | page top↑

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