ここ数日ニュースを賑わせているのが、AIJ投資顧問が企業年金を主とした約2000億円の資産の大半を失った問題ですが、資金の流れが徐々に明らかとなってきています。
・まず企業年金がAIJとの間で投資一任契約を結ぶ。
・AIJはケイマンの私募投信に年金資金を投資することを指図し、実質的なグループ会社であるアイティーエム証券(東京・中央)を通じて資金を流す。
・私募投信に流れた資金はAIJの実質的な指示で、英国系のバミューダ銀行を通じて運用する。
という流れとなっていたようです。
ケイマンとは英国領のケイマン諸島であり、グランドケイマン島、ケイマンブラック島、リトルケイマン島の3島があります。ケイマンはいわゆるタックス・ヘイブンと呼ばれる租税回避地として、有名な場所です。
ケイマンの税制は、所得や利益、財産、キャピタル・ゲイン、売上、遺産、相続は非課税となりますが、免税会社設立、更新などを含む年間の諸経費、マネジメント費用が発生します。
その為、ファンドなどでは顧客へのキャピタル・ゲインの2重課税(ファンドへの課税、顧客への分配時での課税)を防ぐため、ファンド自体を税金という取引コストが固定費として計上して運用の出来るケイマンなどのタックス・ヘイブンに設立することが多くあります。
キャピタル・ゲインによる利益を恒常的に上げられる場合には、非常に節税となるため、取引コストの削減となり、魅力的なタックス・ヘイブンですが、利用については、もちろん特別な人だけが利用できるということではありません。一般の方でも利用できます。
しかし、税金については、基本的に営業している国での課税となりますので、タックス・ヘイブンを利用する場合には、その法人の運用スキームから考えないと行けませんが、その金額(取引コスト)によっては、検討してみる価値は有りそうです。
Webサイトなどでもその方法は紹介されていますが、専門の弁護士などに問い合わせるのが一番安心できる形が作れるのではないでしょうか。
