スポットと先物の裁定~理論先物価格~
2011 / 10 / 24 ( Mon )
お疲れ様です。たぬきです~
前回、世界で最も有名なスポット取引である「ロコ・ロンドン」について
お話しましたが、今回はこの「ロコ・ロンドン」取引の価格と東京金の
先物価格との鞘取りについて考えていきたいと思います。
まず、両者の違いを考えてみましょう。
「ロンドン」「東京」の名の通り、受渡し場所が異なります。それから、
現物or先物の別。実際に金の受け渡しの行われる時間差。ただし、現物の
授受を伴わず完了するケースが多い取引であるという点では一致しています。
価格の単位は、米ドル建てと円建てで異なり、交換レートは時々刻々と
変動します。
取引される価格は1トロイオンス分と1グラム分。1トロイオンスは31.1035
グラムですから、異なります。
さらに、純度。ロコ・ロンドンは一般的な99.5%以上に対し、東京金は
より純度の高い99.99%以上です。
このような相違がありますので、ロコ・ロンドンの価格と東京金の価格が
全く同じということはあり得ません。
では次に、相違から東京金に加味すべきポイントを挙げていきましょう。
渡し場所の違い→輸送コスト・保険料
通貨の違い→為替レートの変換計算
純度の違い→鋳直すコスト、正味の金の重量の違い
時間の違い→金利が発生
為替レートを除くこれらコストは、「東京プレミアム」として東京金の価格に上乗せされます。
つまり、ロコ・ロンドンの価格を元に算出される東京金の理論価格は、
(ロコ・ロンドン価格+運賃保険料+精錬費)×99.99/99.5×米ドル円レート/31.1035
ということになります。
この理論から外れたときが裁定取引のチャンスなのです。いつかは理論価格に
収斂するであろうという予測の元、高すぎれば売り、安すぎれば買います。
ただし、需給バランスが地域事情によって異なるケースもありますので、必ず
しもその歪みが収斂されるものとは限りません。
また、実際には、取引するブローカーへ支払う委託手数料、税金なども加味
した上で収益が出ることを確認せねばなりませんのでご注意ください。