お疲れ様です。たぬきです~
現受け/現渡しの続きです。
日をまたいでいる間にパラジウムの当限が落ち、新甫21年2月限の発会は9,010円、その後9,000円台を割り込み、貴金属相場はジェットコースターの様相を呈しております。
さて、
前回現受け/現渡し(1)で、大まかな流れについてご紹介いたしました。要約すると、
・貴金属の保有方法には、現物(=貴金属のバー)と「倉荷証券」の2つの選択肢があること。
・現受渡しに利用できるのは「倉荷証券」のみであり、手持ちの現物を現渡するには、
「入庫」処理して倉荷証券を発行して貰うか、別の倉荷証券と「スワップ」することが必要。
・「倉荷証券」は、倉庫にて現物が保管されている証書のため、保有期間に応じた保管料が発生する。
ところまでお話ししました。
採算に合うか?をご検討されるに当たっては、もう少し細かな費用まで必要かと思います。
まず、保有に当たってモノを受け取る際、取引員ないし倉庫からご自身の保管場所への輸送コストが発生します。多くの場合郵送されますが、貴重品扱いで然るべき額の保険をかけますので送料は数千円になります。
加えて、現物の場合は、出庫料が求められることがあります。
次に保管期間の費用ですが、倉荷証券は前述の通り、倉庫に対する保管料が発生します。今くらいの値位置ですと、金1kg分につき1期(=10日)400円強。1年で約16,000円です。
現物をご自身で保管されるならタダ、ではありますが、銀を除けば容易に持ち運びできてしまうサイズのバーを自宅に置いておくのは…まあ、パラジウムのバーなどはくすんだ銀色で汚れやすく、ぱっと見て価値があることはわからないかもしれませんが、貸金庫などご利用される方が一般的でしょう。単体の保管コストでなくとも、何かしらの形で必要になるとお考えいただくのがよろしいかもしれません。
それから、費用とは呼ばないかもしれませんが、金利を生まない状態で資産を保有することの是非は、投資家の方には見落とせないポイントではないでしょうか。
かつて金のリースレートが高かった時代には、地金や倉荷証券を消費寄託契約することで金利相当額を受け取ることが出来るサービスなども散見されたのですが、このご時世ではスキームが成り立たないようです。金利はつかず保管料はかかるでは、保管料分値上がりしてくれない限り、保有期間が長くなれば長くなるほど損が大きくなることになります。
そこで、トレーダー様としては、「運用」という方法があります。
もちろん、運用が必ず益になるわけではありませんが、金の単価6,000円、年間保管料16,000円とすれば、年利0.26%程度で回すことが出来れば、保管料はペイできる計算ですよね。
例えば、商品先物取引。倉荷証券の状態であることが前提ですが、株券同様、有価証券として証拠金に充当することができます。ただし、担保価値は時価の6~7割の評価となります。
最後にご注意いただきたい点として、取引単位と受け渡し単位とが異なる貴金属があります。銀と件のパラジウムです。
銀は1枚から取引できますが、受け渡しは30kg単位なので、取引枚数にして3枚ずつとなります。
パラジウムも3kg単位ですが、1枚が500gのため取引枚数にするとなんと6枚!
一般に、建玉にかかる委託手数料や受渡し手数料は枚数で単価が決まっていますので、6枚ということは、手数料も6倍に増えることになります。
いかがでしょうか?
総代金での取引となりますので潤沢な余剰資金が必要ですし倉荷証券を証拠金として運用する等、どなた様にもという訳にはいきませんが、取り入れることで取引の幅は格段に広がると言えます。取引方法のチャネルの1つとして頭の片隅にでもとどめ置かれますと幸いです。
プロトレーダーやシステムトレードに関するお問い合わせは
こちらまで
